9歳のワンちゃんが上顎に腫瘍ができたとのことで来院されました。病理組織検査の結果は「扁平上皮癌」という悪性の腫瘍でした。これは犬の口腔内にできる悪性腫瘍の中では発生頻度トップ3に入る癌です。大きく切除すれば根治が期待できる腫瘍ですので、すぐ手術となりました。「両側先端部分切除術」といって前歯を含めた上顎ごと癌を切除する手術となりました。手術後、外観の変化もほとんどなく、元気に食べています。よかったね。
6歳のワンちゃんが苦しそうで喉に何か詰まっているのではないかとのことで来院されました。すでに他院でレントゲンを撮ってもらって、喉仏のあたりに何かあるのかもしれないが、画像では喉仏の骨と重なってしまって確定的ではない、とのお話だったそうです。再度レントゲン検査をしたところ、やはり何かありそうということで、内視鏡検査になりました。検査の結果、鳥の骨が食道内にひっかかっていたことがわかりました。食道粘膜を傷つけないよう慎重に取り出しました。麻酔からの覚醒後はすっかり元気になりました。よかったね。
待合室のカメレオンが写真のような状態になっていることがあります。これは「皮膚病」ではなく「脱皮」ですので、ご安心ください。トカゲやカメレオンは定期的に脱皮しますが、湿度管理などの問題で脱皮不全を起こすと、指先などの場合は指がダメになってしまうこともありますので注意が必要です。
腰にできたしこりがどんどん大きくなってきたとのことで来院されました。診察時には拳大の大きさまで成長しており、切除検査をすることとなりました。病理組織検査の結果は「限局性石灰沈着症」。腫瘤組織には、石灰の沈着および肉芽腫性炎症が観察されました(写真)。この病気はシェパードに好発し、比較的若い2歳以下での発生が多いです。シェパードでこのようなしこりが多発してきたら注意が必要です。原因不明ですが、過剰な圧力などが加わった部位や過去の傷害部位に形成されることが多く、異栄養性石灰沈着症と考えられています。
写真も多く、肝切除限定というめずらしい本ですが、臨床の外科目線で書かれたとても参考になる本でした。
本来は時間をかけて表面のトリ肉を除去し、鉗子で摘出するのですが、このワンちゃんは重度の心不全で治療中だったこともあり、短時間での治療を選択しました。幸い胃内に落とした骨は写真のように数日で消化され、元気に退院できました。よかったね。
11歳のワンちゃんが、トリの手羽元を食べてしまってから元気がないとのことで来院されました。吐きたそうなそぶりはあるが吐かないとのことでしたが、レントゲンを撮ってみますと、食道のかなり奥の部分で手羽元がひっかかっていました。すぐに全身麻酔下で内視鏡検査を行ったところ、心臓のちょうど真上あたりの食道にひっかかっていました。食道内でしたので、消化もされずトリ肉もそのままの状態で付着していましたので、スネアやバスケット鉗子でつかんでもすぐにちぎれてしまうため、内視鏡で胃内に落としました。
急に尿が出なくなり、元気食欲がないとのことで来院されました。レントゲン、超音波(エコー)検査により、膀胱内の大きな結石が膀胱頸に落ち込んだことで尿管・尿道を塞いで急性腎不全になっていることがわかりました(ウサギはこのように膀胱頸に結石がはまってしまうケースが多いので注意が必要です)。そのまま緊急手術となり、お腹を開いて結石を摘出しました。翌日から食欲が少しずつ改善し、今はすっかり元気になりました。よかったね。
1歳のワンちゃんが右前肢の跛行で来院されました。レントゲン検査にて、腕尺関節(肘関節)の亜脱臼が原因で跛行がでていることがわかりました。
成長期のワンちゃんで前肢の跛行の場合、腕の骨の成長が途中で止まってしまう「早期閉鎖」が多いです。原因には手根関節の外傷、過去の成長板骨折が考えられます。その後すぐに手術(尺骨の骨を切りとることで亜脱臼が整復されます)となり跛行もすぐに治りました。よかったね。
特に小型犬にはとても多い病気です。膝のお皿が脱臼して足を痛がったり、つけなくなったりします。当院では跛行の症状が持続する・進行性に悪化する場合には手術をおすすめしています。手術方法は症状の程度によって、滑車溝造溝術、脛骨稜転移、関節包の調節・縫縮、ラテラルスーチャー他、複数の手技をそのワンちゃんにあわせて選択します。再発防止には脱臼のメカニズム(特に内旋)を考慮した手術が大切です。
ご不明な点がございましたら診察時間内にお電話にてご相談ください。
当院は日本動物高度医療センターと連携をとっており 放射線治療など、より高度な治療を必要とする場合 連携して治療が受けられるようになっています。