加齢に伴って、まぶたにシコリができることがあります。眼球に対して刺激になって結膜炎や痛みの症状が出る、視覚の妨げになるなどの場合には手術をおすすめします。再発のないようにイボを根っこから「楔形」や「四辺」をイメージに切り取って縫い合わせます。アイラインが確実にピッタリ合うように丁寧に縫うことが仕上がりの良し悪しを決めます。今回の子もキレイに治りました。病理組織検査の結果は「重度の肉芽腫性炎症を伴うマイボーム腺腫」で良性でした。良かったね。
主に肛門周囲に硬結したシコリとして発生する良性腫瘍です。尾の根元などにふくらんだ腫瘤として認められることもあります。オスに多くみられメスの10倍ほど発生頻度が高いです。そのため雄性ホルモンが関与しているとされ、去勢した犬では本症の発生はほとんどみられません。今回の子は未去勢だったため腫瘍の切除と同時に去勢手術も行いました。以下、病理診断医のコメント: 肛門周囲腺に由来する良性腫瘍と判断します。通常の肛門周囲腺腫と比較して補助細胞の増殖がやや多くみられ、観察部位によっては肛門周囲腺上皮腫に相当する部位が認められます。肛門周囲腺上皮腫はときに局所再発が問題となる低悪性度腫瘍といわれており、本症例では検索範囲に明らかな浸潤性は認められず腫瘍巣自体は取り切れていますが、念のため経過をご観察ください。